今でも個人の農家がデザイナーにパッケージデザインを依頼するのは稀なのですが、10年以上前といえば、稀というより周りからはちょっと変わり者とみられたかもしれない時代です。糸島市(旧前原市)からの依頼で農業者への商品開発勉強会の講師をさせていただいた際、たけちゃん農園の小川武臣さんも出席されていて、「話を聞いているうちに、うちのブロッコリーのパッケージデザインを頼もうと思ったんですよ」と後日シアンに電話をいただいてから、今日までの長いおつきあいが始まりました。
なんでも初めての時はそうだと思うのですが、どうしていいのかわからない、不安がいっぱいだと思うんです。これは、パッケージデザインをデザイナーに依頼する時も同じだと思います。だから私たちは、仕事を受ける前にまずは現場を見て、依頼主の(この時は、小川さんと奥様)の思いを聞いて、見積をして、了解頂いてから仕事をスタートします。
で、初めての仕事となったブロッコリーの段ボールデザインは、「市場で今までのものとは違ったデザインが目立って、たけちゃん農園を意識してもらえた」と納得していただき、こちらも一定の成果にほっと一安心。
その後、養豚業でもないたけちゃん農園が、新商品開発で「塩焼き豚足」を売り出すと聞いた時には正直びっくりしました。しかし、試食の炭火焼き豚足が美味しくて、二度びっくり! パッケージデザインを依頼されましたが、商品価格をできるだけ抑えるために巻き帯包装にしてみました。最初の一年こそ苦戦しましたが、徐々にその味にリピーターがついて、今では直売所の人気商品に。
もともとおいしいものを食べるのも作るのも大好きな小川さんでしたから、その後もアイデアが絶えることがなく、「スペアリブ」「煮込み手羽先」「煮込み豚足」を真空包装で出してみたいという依頼が次々に。しかし、包装をそれぞれに作っていては費用がかさみます。そこで、たけちゃん農園の気持ちをそのまま表現した共通パッケージにしようと提案。「食べるのも作るのも大好きな tたけちゃん農園の手作りです おいしく食べてもらいたい」とストレートに打ち出しました。そういえば豚足も手羽もスペアリブもみんな骨に近いな~。そこで「骨に近いほどお肉はおいしい!」のひとことをプラス。豚と鶏が区別できるように、豚足とスペアリブ商品には、愛嬌のある豚さんシールを貼って目立たせるよう工夫しました。 このように、単にデザインをするだけではなく、生産規模や体制にあったパッケージの形体や、コストを抑えるための提案するのも私たちの仕事だと思っています。
小川さんのお母さんが作るたけちゃん農園の人気商品、きなこたっぷりの「草餅」もうちのデザインです。一農家がプロに商品パッケージのデザインを依頼するというのは今でも珍しいことで、そこのところを小川さんにお聞きしたら、「それは、結果が出るからですよ。自分たちでデザインしてもそれなりにしか出来ないし、それなりの結果しかでない。だったらちゃんと依頼してちゃんと結果を出した方がいいと思うからです」と。う〜ん、嬉しいです。さらに頑張ろう!と奮い立たせてくれる言葉に感謝。
その後も、ホームページ作りましょう!名刺も作りましょう!とこちらからもあれこれと提案。たけちゃん農園のブランドマネージメントもやらせていただいています。
ホームページも作らせて頂きました。
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